本音のコラム 2013/11/12 「専門家の責任」

 9日。九州大学医学部の一室で、「三池、水俣…そして福島 専門家の責任とは何か」と題する集会が開かれた。「水俣学」を提唱した原田正純さんを追悼する集まりでもあった。 

 50年前のこの日、福岡県大牟田市で、三井三池炭鉱の労働者458人が死亡、839人が一酸化炭素中毒に被災する炭塵爆発事故が発生。同じ日、旧国鉄東海道線新子安―鶴見間の列車衝突多重事故で、161人が死亡していた。 
 原田さんは水俣ばかりか、三池の事故にも深く関わり合っていた。50年たっても東電福島第一原発事故やJR北海道の事故が続いている。専門家は何をしているのか。

 福島原発大爆発事故があってなお、まだ千年に一度とされ、これからの事故の不安を尻目に「安全よりも経済」が声高に語られ、再稼働の準備が進められている。
 JR北海道も、安全投資を怠っての事故続きである。 

 チッソの水俣病や三井.三池を批判した原田さんは万年助教授だった。
 東大の宇井純さんや京大の小出裕章さん、恩師の「岩粉説」を支持せず、炭塵爆発説にこだわった荒木忍九州工業大学教授など、反骨の専門家は冷遇されてなお、被害者とともに歩んだ。 
 晴れ晴れとして生きるか。曲学阿世の徒として、後世の人から後ろ指をさされるか。その選択は個人の生き方の問題である。
(東京新聞、11月12日)
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