公文書が明らかにした米国従属と管理強化の推進

 鳩山由紀夫元首相が、普天間飛行場の移設について「最低でも県外」と明言したことが懐かしい。鳩山元首相は実行力がまったくないまま、世論の批判を受けて沈没した。
 しかし彼は、日米安保を「駐留なき安保」に変え、「東アジア共同体」を掲げて、米国従属から少しでも離脱しようという姿勢をしめしていた。これがあたかも虎の尾を踏んだように、米国の批判にさらされたのだった。
 
 それを証明する公電が、ウィキリークスの公開した米外交文書からみつかった。ソウルを訪問したキャンベル米国務次官補は、韓国の大統領府で金星煥(キムソンファン)外交安保主席補佐官と会談。その内容を要約したものに、こんな記載があったという。
 「両者(キャンベル、金)は、民主党と自民党は『全く異なる』という認識で一致。北朝鮮との交渉で民主党が米韓と協調する重要性も確認した。また、金氏が北朝鮮が『複数のチャンネル』で民主党と接触していることは明らか、と説明。キャンベル氏は、岡田克也外相と菅直人財務相と直接、話し合うことの重要性を指摘した」(『東京新聞』2011年1月20日)
 
 問題は、この文章の交わされた時期が、鳩山政権下だったことだ。鳩山ののち、菅か岡田を首相にしたいという米国の要望がここにあらわれている。この文章が送られた2ヶ月後、ワシントンポストは鳩山を「ルーピー」(現実離れした愚か者)と酷評して政権に打撃を加えた。
 また、東京新聞によれば、このころ渡部恒三元衆院副議長が講演で次のように語ったという。
 『普天間問題を解決できずに鳩山君が責任を取ったら、おそらく菅直人くんが(首相に)なるでしょう』と発言」。

 菅のライバルだった小沢一郎幹事長(当時)は、嫌疑不十分で不起訴とした東京地検特捜部の検事から検察審査会が意見を聞くなど、金銭疑惑の対応に追われ、代表なるにチャンスをつぶしかけていた。
 つまり米側の菅支持、鳩山・小沢嫌いの影響が確かにあったわけである。もちろん小沢が米政権の期待を裏切って首相になったとしても、どれだけ日米安保と辺野古移設反対で頑張れたかはわからない。しかし、これまでも噂されてきたように、首相になる人間は宗主国・米国の信任を得ないといけないという伝説が証明される結果となった。

 菅首相になってからは、普天間飛行場の辺野古移転を後押しし、日米共同統合演習を実施、思いやり予算の名称を「ホスト・ネーション・サポート(HNS)」に変更、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加も表明した。さらに原発の輸出や世論の反対でつぶれた武器輸出など、米政権と財界の操り人形のようになっている。

 ところが米依存のお粗末な政策を裏切るかのように、米国は中国に急速に接近した。1月19日、胡錦濤国家主席(当時)が訪米し、米中首脳会談がひらかれた。これは大げさにいえば、世界第2位の経済大国となった中国が世界第1位の大統領と、世界経済を牛耳ろうとする会談となった。
 中国側の要求を受けて、胡錦濤があわられる場には赤絨毯を敷き、国賓並みの待遇となった。ホワイトハウスでは21発の礼砲や国歌演奏をするなど最大限の待遇を整え、中国の関心をかった。

「鎌田慧の現代を斬る」より 2011年1月

写真=握手をする鳩山元首相とキャンベル国務次官補、うしろはヒラリー国務長官(2010年5月21日)、State Department Photo / Public Domain 
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2013年11月27日(水) 01時28分 |

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