事故の予感(「本音のコラム」より)

 わたしが原発を好きになれない理由は、その危険性もさることながら、すべてをカネで解決する、というやり方に抵抗があるからだ。「理屈ではない、カネだ」というのでは、暴力的というしかないが、全国の原発地帯を取材したうえでのわたしの結論である。 

 いままで、どの町も名乗りをあげることのなかった、もっとも危険な「核の生ごみ」といわれている、「高レベル放射性廃棄物」の「最終処分場」に、町長の独断で応募したのが、徳島県との県境の町、高知県の東洋町である。 
 田嶋裕起町長は、応募は調査してもらうだけだ、と町民に説明した。最初の二年間の「文献調査」だけで20億円、そのあとの四年間の「概要調査」で70億円が、経済産業省から支払われる。 

 町長は、「調査を行ったからといって引き返せなくなるわけではない。応募が即、施設誘致・建設につながらない」といっているのだそうだ。「みせてもらうだけで、6年間に90億円。いやならやめても、返さなくていい」。まるで人身売買のように、危険な国の誘惑である。
 これまでも、原発は、「ストーカーみたいに、いやだといっても追いかけてくる」と嫌われていた。 

 橋本大二郎知事(当時)は、資源エネルギー庁を訪れ「財政的に自治体を金でつるようなやり方でいいのか」と抗議した。国の機関が、こんな不道徳なことをしていいのだろうか。
(東京新聞 2007/2/20)
「いやならやめてもいい」は、TPP交渉でもしばしば使われた国民を欺くための決まり文句のようです。(管理人)

 
甲浦港(高知県東洋町)と竹ヶ島(徳島県海陽町)付近の空中写真。
出典 「国土画像情報(カラー空中写真) 国土交通省」
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