本音のコラム 2013/10/22  


狭山事件 冤罪50年


 夜明け前、まだ暗い田園地帯をひたすら走る男がいる。三年かけて完成したドキュメンタリー映画『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』(金聖雄監督)のファーストシーンである。 

 表題の「SAYAMA」は埼玉県で起こった、女子高校生殺害の「狭山事件」。
事件発生から五十年たったが、犯人にされた石川一雄さん(74)は今も無実を主張し続けている。 
 一審判決は死刑だった。二審判決は無期懲役に減刑されたが、犯人扱いに変わりはない。「せめて現地をみて、話を聞いてほしい」と仮釈放中の石川さんは、東京高裁前に妻の早智子さんと並んで立って訴えている。 
 半世紀もたってから、検察側はようやく未開示証拠のいくつかを提出するようになった。被告に有利な証拠を隠して「死刑」を求刑したのだから、フェアではない。 

石川一雄書面 逮捕直後の石川さんの筆跡は、真犯人が書いた「脅迫状」とは似ても似つかないものだ。まして家貧しくて学校にいけなかった、非識字者の石川さんにとって、学ぶ機会のなかった文字を使って他人を脅迫するなど想像外なのだ。裁判官は字を書けない人たちの悲しみに思いをはせてほしい。 
 再審を求める集会が10月31日午後1時から、東京・日比谷野外音楽堂で、6時から九段・日本教育会館でこの映画の試写会がある。 
 
写真=半沢英一『狭山裁判の超論理』p.39-41. 著作権法第53条第1項によるパブリックドメイン 
(東京新聞 10月22日)
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