解雇を簡単にする限定正社員

 安倍政権が進めている「限定正社員」制度は、正社員の雇用を、企業に有利なように改悪したいという財界の悲願が込められている。  

 すでに忘れさられているが、2005年には、「ホワイトカラーエグゼンプション」を経団連が提言した。
 労働基準法により、労働時間は1日8時間、週40時間以内と定められている。こうした制約を外そうとしたのが、ホワイトカラーエグゼンプションだった。採用労働にしていく労基法の歯止めを取りさる露骨な法律案は、「過労死促進法案」として反対運動も盛りあがり廃案となった。  

 今回、問題となっている限定正社員は、勤務地や仕事内容、労働時間が限定された労働者を指す。この限定正社員の解雇の基準を緩くするのが狙いとなる。
 労働者派遣法の改悪により、派遣できる範囲は大幅に広がった。しかし業務を派遣に任せるのは最長3年という法律的な歯止めがある。それを突破しようとしているのが、この制度といえる。

2011年2月16日 photo by MIKI 労働基準法は解雇の要件を厳しく定めている。そのため正社員を雇った場合、仕事がなくなっても、内部的柔軟性ともいわれる、配置転換による雇用の維持を目指す。そうやって大企業は生涯雇用を守ってきた歴史がある。
 ところが限定正社員の導入により、仕事がなくなったら解雇ができる仕組みができあがる。
 しかも制度ができれば、本当の正社員を限定社員に格下げする可能性が高い。正社員を限定社員にして、仕事がなくなったらクビ。「名ばかり社員」である。
 労基法に守られた正社員をクビにするために、限定正社員制は使われることになる。

 西欧諸国では、年間数十万の解雇紛争が労働裁判所で扱われる。
 しかし日本では年間1600件程度でしかない。労働局への相談件数は10万程あっても、あっせんの申し込みは4000ぐらいだという。しかも金銭解決は、平均17万円である。
 クビにして17万円はひどすぎる。つまり現状でさえ、日本の中小企業は解雇自由なのだ。それを大企業まで広げるのが限定正社員の制度である。これは大企業をブラック企業化する法律だ。
 しかし、政府の規制改革会議は「非正規社員を社員化をうながすのが狙いだ」、あるいは「限定正社員は正社員にする」などと宣伝する。しかし、それは本当の意味で「限定」された人だけの幸運である。

 社会を安定させなければ消費はふえない。少子化にも歯止めがかからないだろう。社会を安定させるためには、非正規社員を社員化するしかない。しかし経営者は自分の地位の維持と自分の利益しか考えず、社会の安定など考慮しない。
 マイカーも買えない、マイホームも買えない、マイナンバー制による監視体制だけが残る。アベノミクス崩壊の裏で、日本はそんな社会にむかっている。(談)

「月刊記録」より、2013年7月
写真=photo by T-MIKI,2011/2/16、Creative Commons License
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2013年10月26日(土) 23時04分 |

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