TPPで進む日本の植民地化②

諸手をあげて賛成する大マスコミ

 TPPをめぐる議論で不思議なのはメディアの動きだ。テレビはもちろん新聞社もこぞって賛成を表明している。経団連ベッタリの日本経済新聞はもちろんのこと、読売新聞や毎日新聞、朝日新聞も強行派である。
 朝日新聞などは10 月14 日の社説で、「TPPへの参加は、経済連携戦略での遅れを取り戻す、またとない機会だ」などと書いている。
 
 しかしTPPによってダメージを受けるのは、農産物ばかりではない。日本政府が守ってきた安全性さえも保証できなくなる。
 遺伝子組み換え食品などは、その最も顕著な例だろう。
 遺伝子組換え食品であるとの表示を必要ないとする米国の主張は、すでにTPPで大きな問題となっている。しかもTPPでは、投資家が投資先の国の政策で被害を受けた場合、日本以外の国で裁判がひらかれるという。
 
March Against Monsanto New Orleans Gathering Duncan Plaza Flying Dog No GMOs 米国の司法は、遺伝子組換え作物についてとんでもない判決さえだしている。遺伝子組換え作物を育てている企業が、遺伝子組換え作物ではない花粉が飛んできて不利益を被った隣の農家を訴えた裁判で、企業側の主張を認めたのだ。このような判決がだされるなら、遺伝子組換え作物の畑をつくっては、隣接する農家を訴えて規模を拡大することも可能となる。すでに米国とFTAを結んだ韓国でも、この訴訟制度について大もめとなっている。
 このような不平等条約を、朝日新聞は「TPP議論 大局的視点を忘れるな」と参加を煽(あお)っているのである。「日本がもたつく間も、世界は動いている。自動車や電機といった日本の主力産業でライバルとなった韓国が典型だ」とは、「バスに乗り遅れるな」というアジ(=煽動)だ。しかし、そのバスは「地獄行き」なのだ。

 TPPによる悪影響について、日本医師会は医療の産業化が進むとして、次のような見解をしめしている。
 「医療の効率化が優先され、安全性が失 われます。営利企業は、高収益を見込むことができる私的医療費にシフトし、公的医療保険の患者が切り捨てられます。社会保障は平時の国家安全保障であり、営利産業化させ、市場で競争させるべきものではありません」

マイケル・ムーア「シッコ」(amazon) 米国では、民間保険会社の提供する健康保険プランを個人や各企業が加入する形式を取っている。そのため保険加入や保険金の支払いを拒否される例が相次いでいる。
結果として数百万円という高額な医療費を払うことができず、医療を受けずに死んでいく人が後を絶たない。
 こうした問題をマイケル・ムーア監督は『シッコ』というドキュメンタリー映画にまとめている。そこには医者に行くお金がなく、自分で傷を縫う人が紹介されていた。国民皆保険制度が崩され、米国の保険会社が参入するようになれば、日本でも同様の事態が起こる。
 
 日本医師会は、国際医療交流による外国人患者・従事者の受け入れについても、「診察や治療は、人体に侵襲を及ぼす行為です」という表現で反対を表明している。健康にかかわることを簡単に改革すべきではないという現場の主張に、私たちは耳を傾ける必要がある。
 貧乏人は病院に行けなくなる一方で、高額な医療は充実する。こうした二分化は、TPPにより進むだろう。

 そんな社会はつくってはいけない。平準化や平等を求めて進むのが政治だが、米国や日本は一部の利益のために多数を苦しめる政治を進める。
「月刊 記録」 2011年11月号

写真上;遺伝子組み換え食品反対を訴える行進、アメリカニューオーリンズ (March Against Monsanto New Orleans Gathering Duncan Plaza Flying Dog No GMOs, GNU Free Documentation License)
写真下;マイケル・ムーア「シッコ」Amazon associate license
関連記事

コメント


トラックバック

-

管理人の承認後に表示されます

2013年11月25日(月) 23時12分 |

↑
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。