最近の新聞記事から 「核拡散防止条約 核不使用声明 署名へ」(編集部)

 日本政府が核拡散防止条約(NPT)への署名を表明したことを、多くの新聞が報じている。中國新聞は「核声明賛同 広島で歓迎の声」の見出しで、

 政府が、米ニューヨークで開会中の国連総会第1委員会(軍縮)で発表される核兵器の非人道性に関する共同声明に賛同して署名する方針を固めたことについて、広島の被爆者には11日、「よかった」「当然だ」との受け止めが広がる一方、被爆国として、声明に見合う核兵器廃絶への取り組み強化を求める意見も相次いだ。(10月11日)

 と報じている。とはいえ、4月のNPT署名を拒否した日本政府が、急に全面的方向転換をしたというのではない。今回の共同声明にある 「いかなる状況下でも核兵器を使用すべきでない」という文言が、アメリカとの集団安全保障政策と折り合わない。
 そこで、今回は「日本側が事前に働き掛け、拘束力がないことを確認することで折り合う見通しとなった」(中國新聞、同上)というのだから、核反対の線のなかに片足だけ入れてポーズをとっていると見えなくもない。
 
 
赤色がNPT未署名国、黄色は脱退国。Designed by allstar86
(GNU Free Documentation License)  

 しかし、核軍備に向けて一直線に突き進もうとする安倍・石破自民党政権に一定の歯止めがかかったのは間違いない。
 秘密保護法案にしても、公明党が求める国民の「知る権利」や「取材の自由」への配慮を規定した修正案を出してきた。安倍首相が国民の権利を極力抑え込もうとしても、先進国では異例の人権軽視の政策に対しては、さすがにブレーキがかかる。
 ただ、国民の監視の目がすこしでもゆるめば、ブレーキは外されてしまうことを忘れてはならない。運転している現政権のめざしている方向を考えれば、安心はできない。

 NPT署名に向け、舵(かじ)を切ったのは、岸田文雄外相である。
 「日本は核兵器の悲惨さを最も知っている。被爆地の思いを発信したい」(10月11日の記者会見)
 岸田外相は広島県選出の衆議院議員で、岸田派(宏地会)会長、三世議員で第一次安倍内閣でも内閣府特命大臣(沖縄及び北方対策、国民生活その他)を務め、第二次大戦時のアジア侵略時の日本軍の残虐行為を否定する歴史教育を考える会の会員でもあるので、安倍・石破ラインと近いように思われがちだが、かれらとは一線を画している。
 「自民党が右傾化していると言われるが、保守穏健派があると示すためにも、仲間の応援に飛び回りたい」(「衆院選:候補者の横顔1区・2区広島」毎日新聞2012年12月6日地方版)
 現在の自民党政権で主流となっている極右系勢力との違いを意識しての発言内容である。これまでの発言や行動をみても、核兵器廃絶への思いはつよく、沖縄の基地問題にくわしい。また古賀誠宏地会前会長のあとを受けて中国首脳とのパイプも深く、対中外交にも積極姿勢を見せている。

 アメリカ一辺倒ではなく、中国やロシアとも積極外交をすすめた政治家は、冤罪で貶められ、さらにマスメディアになぶりものにされ、失脚させられるケースが少なくない。田中角栄、中川一郎、小沢一郎、鈴木宗男など枚挙に遑ない。
 国民にとってあきらかに望ましい平和・友好外交を岸田外相がつらぬくことができるのか、わたしたち市民が注意深く見守っていく必要があるだろう。  

 来年広島で開催される非核保有12カ国による「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」外相会合で議長を務め、核軍縮の重要性を訴えるメッセージを発表する予定という。さらに「広島と長崎への原爆投下から七十年に当たる15年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で具体的成果につなげる道筋を描く。同年には各国の政府関係者や研究者が集まる国連軍縮会議を広島で開催する案も検討している」(東京新聞、10月12日)。
 今回のNPTへの署名表明は、そうした一連の動きにむけての第一歩といえる。


写真=岸田文雄外相(U.S. Department of State in Washington, D.C. Public Domain) 
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2013年11月29日(金) 06時17分 |

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