紳士服AOKIのモラル


 4カ月間のあいだに1380人、およそ8割が脱退させられたという。洋服販売店の労働組合、「AOKIグループユニオン」が、会社側の不当労働行為を訴えている。  
 組合から脱退させるのに、解雇や配転で脅かす、というやり方は、労働組合の存在否定である。解雇や不当配転から労働者を守るのが、労組活動である。

 この逆転した攻撃に、悪夢のような「国鉄改革」を思い起こす。
 国鉄分割・民営化を決めた1983年の「再建監理委員会」の発足から、87年のJRの出発まで、政府と学者、新聞が一体化した「改革」宣伝が、労組つぶしに拍車をかけ、100人以上の自殺者と余部(あまるべ)と尼崎の大事故(注)を発生させた。 

 労働者が組合を結成し、経営者と交渉する権利は、憲法28条で保障されている。その団結権にたいする攻撃は憲法違反である。
 ところが、最近では、経営者も労働者も民主主義の基盤ともいうべき、この保障されている権利を忘れがちだ。まして、巷(ちまた)の不況が「解雇」の脅しの効果を大きくしている。
 「国労を脱退しないと新会社に採用されない」という管理職の説得が、JRへの移行時さかんに使われた。
 いまAOKIがそれとおなじ手法を使っているようだが、事実なら許されない犯罪行為である。 

 憲法に違反しても安ければいい、という経営者の考えは、経営の末期症状をあらわしている。
『怒りのいまを刻む』七つ森書館、2013年4月

(注)2005年4月25日、JR西日本福知山線尼崎市内で起きた脱線事故は、107人が死亡、493人が重軽傷を負うという惨禍になった。先月27日の神戸地裁は、歴代の3社長に対して無罪判決を下した。控訴は未定。
 カーブでの危険性が予測されていたにもかかわらず、ATSを設置していなかったという安全対策軽視の経営責任をめぐっての訴訟だった。
 しかし、それ以外にも乗務員が目標を達成できなければ見せしめとして、人間としての尊厳を無視した懲罰を加えるなど、ブラック企業的要素にみちみちていた点も忘れてはならない。控訴しなければお墨付きを与えたことになり、日本の安全も労働環境もさらに悪化の一途をたどるのではないか。
 最近、保安・安全対策のずさんさが次々にあきらかになったJR北海道も同根である。(編集部)

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2013年10月07日(月) 15時40分 | | 編集


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