「生命を大事にする運動は多様な要求を吸収できる」(福島瑞穂との対談) 

福島 憲法改正の話で言うと、その流れは急速ですね。周辺事態法ができ、テロ特措法ができ、有事三法まで成立してしまいました。 
 政権は、憲法に集団的自衛権を盛り込むということを発言しているのだから、改正の焦点は、九条と前文にあるのだと思いますけれども、ほかにも表現の自由や国民の知る権利、報道の自由、集会結社の自由、もっと言えば思想良心の自由や労働基本権、生存権といった基本的人権も、狭めてしまうことを狙っているのではないでしょうか。 

鎌田 護憲と言えば、「社会党末期時」の問題があると思います。
 社会党は原則を譲って支持していた人たちをガッカリさせてしまったことがあった。僕の周囲の社会党にいた自治体議員も、その頃にたいがい離党してしまいました。 
 地域のネットワークを強固にしなければいけない時に、残念なことにその分だけ社会党の力は落ちてしまった。

P1020811 (2) 地域には、人権問題や憲法の問題ばかりか、産廃や原発闘争で熱心に行動する地方議員が多かったが、その人たちもいなくなってしまった。2003年の衆議院選挙でも社民党は「護憲」を前面に押しだしてたたかったけれど、勝てなかった。「護憲」というイメージが有権者に伝わらなかった。 
 「戦争反対」とか「殺すな」とか、そういう明確なスローガンの方がよかったと思いますし、憲法をささえている理念を、どうひとびとの日々の暮らしのなかに生かしていくかが問われるベきでした。 
 たとえば憲法九条は絶対に人を殺してはいけないという条項ですから、九条を守る運動は、命の尊さを考える死刑廃止運動とも連動するはずです。命を大事にする運動は、様々な人たちの要求を吸収できるはずです。 

福島 国家によって個人が翻弄されるのは辛いことです。死刑も戦争も国家による殺人です。でもそれは両方とも、人間が知恵を使うことによって避けることができる。
 何億人もの人が暮らしている以上、殺人をゼロにするのは難しいと思うけれども、国家が死刑をやめてしまえば、一人の生命がその場で救われるのですから、国家による殺人は止めることができるのです。 

鎌田 死刑制度は、悪い奴は抹殺してもよいという論理で、報復主義です。
 戦争も同じことで、まさにイラク戦争では「フセイン大統領は悪者だから抹殺してもよい」という手法が取られました。どちらも根っこの部分に流れる思想は共通しています。  

 戦争を行っている国は社会が荒廃していきます。殺伐とした感情が社会に蔓延し、犯罪件数も増えていきます。
 僕が講演会などで死刑反対の話をすると、悪言を書いたハガキが送られてきます。それだけ日本の社会も殺伐としはじめているのです。死刑制度は憎悪を増幅します。
 最近は、政治家の差別発言も公然と行われ、差別落書きもふえてきました。 
 それでも、現状に負けずに憲法の理念を実現するため、地道な連動を続けている団体や個人もまだまだたくさんあります。いろいろなところにある「変えて欲しい」という願いを、党としてどうやって汲み上げて生かしていくことができるか、それが社民党を再生する道だと思います。 

福島 たしかに、運動の現場に問題点と知恵があるのだからこそ、その原点にもどって、そこから政治をスタートさせて、タウンミーティングとか対話集会とか、双方向に意見を言える場で、市民の側からも意見やエネルギーを貰っていく必要があります。
『やさしさの共和国』花伝社、2006年9月
写真=さようなら原発デモ2013年9月14日(編集部撮影)
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