本音のコラム 13/12/10 「もんじゅの秘密」

 急な坂を登って門前に着いた途端、雨脚が強まった。白い雨がっぱの警官隊がシロアリのように群がっている。固く閉ざされた門扉のむこうにも、ガードマンたちが足を踏ん張って立つ。
 「もんじゅの再稼働反対」「廃炉にするぞ!」とわたしたちは門のなかにむかって、声を張り上げた。 

 福井県敦賀市の山腹に、灰色のガマガエルのようにうずくまっている「もんじゅ」は、かつて「夢の増殖炉」と呼ばれていた。原発原料のプルトニウムが無限にふえる、という触れ込みだったが事故続きで休止。すでに一兆円以上を空費した。 
 青森県六ケ所村の核燃料再処理工場とあわせて、安倍政権がまだやると言い募っているのは無責任にすぎる。役立たずの廃船になった原子力船「むつ」の二の舞いだ。 

 30数年前、敦賀市役所に就任したばかりの企画開発課原子力係長なる人物に会ったとき、「賛成派か反対派か分からないからなにも言えない」と突っぱねられた。 
 そのころからもんじゅは、核兵器工場に転換されるおそれがある、危険な秘密工場だったのだ。 

 原子爆弾の原料になるプルトニウムの生産量は、特定秘密保護法によって秘密にされる。その輸送経路も秘密。市の職員も工場の労働者も「適性評価」の対象者として監視され、発言はチェックされる。
 「文殊菩薩」の名を騙(かた)るのは罰当たりだぞ。

(東京新聞、12月10日)
関連記事

コメント


トラックバック

↑
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。