放射能で汚染される前にカネで汚染される

 私は本当に、生理的に原発が嫌いです。危険だからというのは勿論ですが、それ以上に、やってきたことがあまりにも酷い、やり方が汚いからです。「放射能で汚染される前にカネで汚染されている」と私はいっていますが、金の使い方が汚い。人間をダメにしています。

 全国すべての原発建設予定地、その自治体や町で、まず何があるかというと、それは「先進地視察」旅行です。
 「先進地」というのは「原発先進地」のことですが、原発のあるところに原発建設予定地の住民を運んでいきます。部落ごとに、あるいは、班を作ったりして、全員を連れていくのです。一泊二日、二泊三日ぐらいが普通ですが、原発をちょっと見学させて、あとは旅館に入れて「飲めや歌え」。
 これは、オーバーにいっているのではなくて、どこもそうなんです。 

 例えば珠洲市の場合は、関西電力、北陸電力、中部電力の三者共同で二ヶ所に原発をつくるというプランでした。常に電力会社のひと90人ほどが地元に常駐して、いろいろと住民を接待したり、添乗員のようにして博多旅行などに連れていきます。地元のひとたちが希望するところへ連れていくわけです。
 賛成派の幹部は、北海道の泊から新潟、玄海も含めて、鹿児島県の川内まで、全部の原発を廻っています。 
 先日、日弁連(日本弁護士連合会)で集会があり、賛成派の東大の教授などと討論しました。私が、人心を荒廃させる例として、何十回となく旅行に連れていくというのは、頽廃ではないかといったら、その東大の先生は、「それは企業の宣伝だ。どんな企業でも宣伝活動はするわけだから、宣伝として連れていっただけだ」という。
 そんな解釈をして逃げることもできるのかもしれないけど、それは、人間性に対する攻撃です。とにかく、カネで籠絡させてしまう。 

 また、建設用地を買収しないで、最初は借地契約を結ぶという手口もあります。借地にしておいて、借地代を払う。
 すると、契約はしたけれども所有権は移転していないので、これまで通り耕作は自由ですし、何の変化もない。ただ、土地を「借ります」というだけの契約。それで、借地料をどんどん払っていく。つまり、地主は何もしないでお金が入ってくるようになるわけですね。そうしておいて、最後には買収してしまうというやり方です。(つづく) 


澤地久枝・鎌田慧編著『ほうしゃせん きらきら きらいだよ』七つ森書館、2012年12月

写真=鹿児島・川内原発, KEI at ja.Wikipedia
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