鎌田慧☓落合恵子 対談「脱原発~原発で地域振興はウソだ」

鎌田 オイルショックの時はこれからは石油がなくなる。だから、原発にしますと産業界は言った。石炭から石油へ。石油から原発へ。でも、石油はあれから40年たったも、まだ枯渇していない。石油から原発へ。これは産業界の言い方でしてね。
 水力、天然ガス、自然エネルギー。いろんなものを組み合わせていけば電力は賄えるんですよ。それなのに、病院の電力が足りなくなったら患者が死亡するなんて、子供だまし的に今言うのは原発を造る時の電力不足の恐怖をアオったのとよく似ています。

落合 日本は従来、海外の反応を恥ずかしいくらい気にする民族です。ところが、今回は海外で子供がこんな危険な地域に置き去りにされているとか、国の放射能に対する政策は間違っているなどと、はっきり批判されているのに無視している。

鎌田 僕が本当に怒っているのはこれから節電していこうという機運に、国や電力会社が水を差したことです。今までムダな電気を使っていたが、少しの電力で済む生活に変えていこうと皆、決心し始めたわけですよ。
 ところが、そのやさき、再稼働して電気の心配をしなくてもいいから、どんどん使えと決心を鈍らせた。それをすごく怒っているわけですよ。

落合 みんな、節電を誓いましたものね。
 映画監督の若松孝二さんが「日本中が補助金という名のポン中(覚醒剤中毒)になっている」と言っていましたが、鎌田さんが原発が立地している地域をルポして感じたことは、どういうことですか。

鎌田 原発が立地するところは、本来は過疎化していたところです。政治的には問題を何も解決せず、ほったらかしにしておいて、(企業誘致が)喉から手が出るほど困っていたところに原発を持っていった。それで原発依存にしてしまったわけです。


参議院入口にて 
写真=左から落合恵子、佐高信、鎌田慧各氏、参議院入口にて(11月26日)

落合 そういう構造を作り上げたこと自体が問題です。

鎌田 海もあるし、山もある。畑も田んぼもある。それを重ね合わせて、先祖代々暮らしてきたわけですよ。原発がなかったら、いろんなことを考えることができたが、原発がやって来たために、自分たちの手で地域振興を図るとか考えない依存の状態にされた。

落合 拝金主義が生み出し、それに支配されてきた経済万能社会の罪ですよ。

鎌田 しかし、原発が来ても豊かにはならなかった。原発労働は孫請け、ひ孫請けですから、原発の中で働く人は、いろんなところを転々としているんですよ。だから、零細な仕事しか地元に落ちない。原発が来ると地域が発展する、と言ったのはウソで、カンフル注射のように、電源三法の交付金(注)を投入したからです。

(週刊アサヒ芸能 2012年8/16・23合併号)
(注)電源三法交付金=オイルショック後、電源の安定供給を図るため、原発などを建設した地域に交付されるようになった補助金制度のこと。フクシマ原発事故以前の交付金は800億を超えていた。自治体べつにみると、福島が130億で第一位だった。
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