オウム事件と原発事故がしめす教養の必要性

 2011年11 月21 日、オウム真理教・元教団幹部の遠藤誠一被告の上告が棄却され、死刑判決がだされた。これで麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚以下、教団関係者13 人の死刑が確定。さっそく次のような意見が出た。

麻原彰晃2 「今後、法務省は松本死刑囚らの刑執行の検討を迫られよう。共犯者の公判が継続している間は執行を見送るのが通例だが、裁判終結により、執行の環境が整ったとも言えるからだ」(『読売新聞』2011 年11 月23 日 社説)
 「執行の順序については通常、判決の確定時期などが考慮されるが、別の法務省幹部は『絶対的な存在として教団に君臨し、犯行を指図したという事件の構図からいっても、まず首謀者の松本死刑囚について検討するのが筋だろう』との見方を示した」(『読売新聞』2011 年11 月22 日)
 読売をはじめとするマスコミは、「首謀者」の死刑を早めるよう、うながす論調である。松本死刑囚は再審請求をおこなったのに、死刑を強行するのは、あまりにも乱暴だ。
 
 また彼の精神状態で死刑執行できるかという問題もある。松本死刑囚の状況については、2011 年11 月22 日の『毎日新聞』に次のように書いている。
 「最近はほとんど言葉を発せず時折小声でなにかをつぶやく程度。日中はほぼ正座かあぐら姿で身動きしない。拘置所職員が食事を手伝うこともあったが、今は自分で食べている。家族が拘禁反応の治療が不十分として起こした訴訟の確定記録などによると、01 年3月から失禁し、トイレを使ったのは07 年に1度あるだけだという。逮捕時の長髪は短く切られ、ひげも落とした。風呂や運動を促せば反応がみられるが、家族らの面会には応じていない」
 彼が詐病だという説はあり、精神障害を主張する弁護士との争いになっている。しかしトイレを使うことなく失禁を繰り返し、身動きするしない状態を「詐病」だと断じるのにはムリがある。
 
 国連人権委員会は、いかなる形態であれ精神障害を抱えている人に死刑を言い渡したり執行すべきではないとしている。死刑そのものも認められるものではないが、精神に異常をきたしている人物に死刑を科すのはさらに残虐な行為といえる。
 死刑論者の急速な増加は、オウム真理教問題が端緒になった。事件前は、死刑を求める世論はこれほどまで強くはなかったからだ。
 
 鳩山邦夫議員が1年の法務大臣在籍中に4回もの死刑を実行、計13 人を処刑したのも、オウム真理教問題からつづく世論の高まりがあった。政府の実施した09 年の世論調査では、死刑「容認」が85%を超えた。世界的な死刑廃止の流れからみると、惨憺たる状態である。
 こうした世論を背景に、最近では未執行の死刑囚が過去最多の125 人になったと報じる記事もでてきた。民主党政権の法務大臣であった平岡秀夫議員は、死刑執行について「慎重に判断する」との見解をしめし、そうした姿勢にたいする圧力になっていた。〈この項、続く〉

「月刊 記録」より
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オウム事件と原発事故がしめす教養の必要性②

10月2日付「オウム事件と原発事故がしめす教養の必要性」の続きになります

 松本サリン事件で妻が意識不明の重体となり、警察とメディアから犯人扱いを受けた河野義行さんは、トレランス(寛容)に満ちた姿勢を表明している。
 「事件は、必ず風化するものだ。教団、メディア、警察に対し、誰かを恨む気持ちはない。報道姿勢や被害者支援の在り方、住民票不受理といった行政の過剰な教団バッシングなど、事件で得た教訓を生かしてほしい。教団は観察処分となって11 年が経過したが、果たして今でも無差別大量殺人を起こす危険性があるのか。そろそろ普通の生活に戻してあげたいとすら思う」(『読売新聞』2011 年11 月22 日)
 
 14 年間にもおよぶ寝たきりの生活をへて、妻は3年前に亡くなったという。それでもオウム真理教を受け継いだ宗教団体の人々にたいして、「普通の生活に戻してあげたい」との思いを抱くのはなかなか大変なことである。
 この記事の終わりが、また素晴らしい。
「妻が亡くなり、昨年、三回忌を終えた。これが私にとってオウム事件の区切りだ。だから、遠く離れた鹿児島に移住してきた。もちろん命日には妻を思うが、これからは自分のための人生を楽しみ、幸せになる」
 報復に取り憑かれたかのような死刑好きのマスコミとは、まったく異なる思想である。

 オウム事件で本当にすべきなのは、被害者の救済を考えることだ。どう補償していくのか、それを解決すべきであり、被害者の生活を安定させるよう方策を講じる必要がある。被害者の救済に動かず、死刑だけが一方的に進んでも被害者感情は報われない。

事件の謎に迫らないオウム裁判
 オウム事件の加害者のようなエリートが、なぜ事件を起こしたのか、理解できないという問題もある。その要因の一つに教育の欠陥がある。現在の学校教育では、命や生活、人間にたいするやさしさが教えられていない。だから知識だけでサリンを作り、頭だけで架空の敵をつくりだし、狭い世界に落ち込んでいってしまう。もっと幅の広い人間的な教養が必要だ。
 学力と教養は違う。人間を大事にしていくのが教養であり、それが足りなければ学力があっても人は救われない。
 
 エリートの暴走は、これまでにも起こってきた。浅間山荘に集まった連合赤軍の若者たちも、銃によって革命を成し遂げる「唯銃主義」を唱えた。その空想的な思想を信じて行動した。
 この事件が起こった1972 年からオウム真理教の事件まで23 年。再び若者たちが武装して、国家を転覆させようと考えたことになる。どちらの事件も社会に対する不満が源泉となっているが、オウム真理教事件の背景には社会のいきすぎた物質主義がある。精神的なつながりを求めて宗教教団に入り、秘密集団ゆえに歯止めなく殺人やテロルに暴走してしまった。
 
 社会を暴力的に変えるのではなく、もっと違った形で変えていく道筋をしめすことが、こういう犯罪を防ぐことにつながっていく。そのためにもこの裁判は事件の真相に迫る必要があった。死刑執行を認めさせるためのセレモニーと化し、事件発生の謎に迫らないのは無責任すぎる。
 死刑囚の再審請求はつづいている。死刑反対の声をあげていきたい。

「月刊 記録」より

最新の新聞記事から 「特定秘密保護法案」(編集部)

 2013年10月18日、そしてこれからの1週間は、歴史に汚点を残す日々になるかも知れない。
 予想されていたことだが、与党の公明党が「特定秘密保護法案」を最終的に了承し、「政府は25日に閣議決定し、国会へ提出する。今国会で成立する可能性が強まっている」(朝日新聞電子版、10月18日)。
 
安倍晋三・マスクamazon 「特定秘密保護法案」は、公務員の機密漏えいに関する罰則規定という名目だが、その実体は危険な要素にみちている。政府が指定することになる特別秘密は、外交問題にかかわる軍事機密だけではない。
 「公共の安全・秩序の維持」(毎日新聞朝刊、8月13日)を含み、ときの政府が自由に決めるというものである。公共の安全、秩序の維持といった抽象的な規定では、どんなことでも秩序を乱す可能性があるとして、政府が指定することができる。指定するのは政府だけであって、国民を代表する野党も含めた国会議員は「指定」に関与できない。政府関係者は不正や残虐行為を行なおうが、特別秘密に指定しさえすれば、国民に知られることなく、何でもまかり通ってしまう。
 もちろんフクシマ原発の汚染水も、4号炉の不安定な核燃料棒の問題も、どんな事態に陥ったとしても国民は知らされることなく、多くの犠牲者が出ても、秩序の維持あるいは国益を守るという理由ですべてが秘密のうちに処理されうるのである。
 第二次大戦の悲劇のはじまりとなった1925年の「治安維持法」、1933年のヒトラーへの「全権委任法」にも匹敵する悪法にほかならない。


 さらに、秘密裁判をおこなう軍法裁判所の設置、非常事態宣言法まで政府は準備している。たとえば、平和を口にするだけで、軍事的な秩序を壊すとして秘密裁判にかけられる。あるいは尖閣などにみずから仕掛け、非常事態を宣言すれば、憲法も法も無視した超法規的国家体制をとることもできる。それは民主主義社会の完全な消滅、恐怖にみちた暗黒国家の現出にほかならない。
 1930年代の全体主義国家、ナチス第三帝国の再現はたんなるフィクションとは呼べないものになりつつある。7月の麻生発言は、誤解などではなく本気でのべた宣言だったようだ。
 
麻生太郎2013年7月14日 さきの衆院選・参院選での自民党の得票率は、ともに有権者全体の約20%。こうした危険な反民主主義的国家観の政党と理解して投票した有権者は、そのなかの10%程度ではないか。つまり、上の現政権の反民主主義的な政策を支持するのは、有権者の2%もいないと考えるのが妥当だろう。
 まして軍国化の犠牲になる可能性がもっとも高いのは、青少年である。労働環境の悪化、さらには集団安全保障の名のもとに世界じゅうの戦場に派遣される可能性が出てきている若い世代の不安を考え、その数を入れれば、2%どころかわずか1%程度の国民だけが現政権の反民主主義政策を支持しているにすぎない。そうした少数者の意思によって、大メディアはコントロールされ、日本社会の破壊がいっきに進行しているのだ。
 しかしそうした変異を支持しているのは、1%にすぎないのである。市民・国民の声がすこしでもまとまれば、平和で民主的な日本にもどすことは十分に可能である。本ブログでもしばしば呼びかけ、また読者からの声にもあるように、市民がそれぞれの思いをひとつにして声をあげ、運動すること。それで、事態はまだまだ打開できる。

 「知る権利」についても、公明党の修正案の重要な箇所に対しては、政府は妥協しなかった。たとえば「取材の自由」について、「政府関係者は「取材者が公務員に秘密を漏らすようそそのかしても『正当な業務行為』だから罰せられない」と説明するが、公明党は当初、「罰せられない」と明文化を求めており、後退した表現となった。」(朝日新聞電子版 10月18日)。知る権利に対して配慮するという文言は入れたが、「罰すること」に固執し、そのまま残した。取材の自由=国民の知る権利への政府側の敵対姿勢が、はっきりと表れている。

 「自民党プロジェクトチームの町村信孝座長は17日、「テロリストが雑誌会社をつくって『取材の自由だ』と言うこともありうる。訳のわからない『ジャーナリスト』もいる」と、(処罰は)その都度の判断になる可能性を示唆した。(朝日新聞 同上)

 自民党極右派の姿勢が、ここには明確にあらわれている。かつてのナチスや日本型ファシズムと同様に報道統制への願望がむき出しである。じぶんたちが完全にコントロールできると侮っている大メディア以外は、「訳のわからないジャーナリスト」と小馬鹿にし、ついには「テロリスト」呼ばわりをする。権力欲に囚われ、民主主義の約束事への最低限の配慮すらここにはない。国民の平和で幸福な未来像など、もはや想像することなどできないのだろうか。

写真上=Amazon associate license
写真下=麻生財務大臣、尼崎駅北口にて2014年7月14日 Photo by Ogiyoshisan
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

お知らせ 11・9 怒りの大集会

本ブログのレギュラー執筆者で風刺マンガ家、橋本勝が呼びかけ発起人の集会のお知らせです。 当日、会場にてマンガ展を開催、またPM12:30より紙芝居を上演します。

憲法改悪反対! 安保強化と原発再稼働を許すな!
戦争と貧困の強制に反対する 11・9怒りの大集会

日時:11月9日(土)   開場 12:00  開会 13:00
会場:かつしかシンフォニーヒルズ(東京都葛飾区立石六丁目33番1号)
〔会場への行き方〕京成青砥駅より徒歩5分または京成立石駅より徒歩7分

アベさんはいったい日本をどんな国にしたいのだろうか?スローガン
・集団的自衛権行使の合憲化反対! 憲法改悪を許すな!
・オスプレイを投入した日米合同演習反対! 普天間基地を撤去せよ!
 敵基地攻撃能力の保有を許すな! 日米安保の強化反対!
・福島原発からの高濃度汚染水流出を許さない!
 原発の再稼働反対! すべての原発を廃炉にせよ!
・消費税大増税・社会保障切り捨てを許すな! 
 <アベノミクス>反対! 首切り・賃下げ反対!
・秘密保護法制定反対!
・新たなファシズムに抗する労働者・学生・市民の連帯をつくりだそう!

プログラム(予定)
● 主催者あいさつ 古川路明(放射化学者)
● 講演 大波修二(大和市議会議員)
    河田昌東(チェルノブイリ救援・中部 理事)
● ビデオ上映
● 発言  矢澤曻治(弁護士) ほか
● 実行委員会からの問題提起
● 閉会あいさつ  森井 眞(元明治学院大学学長)

戦争できる国呼びかけ発起人
池田龍雄(美術・九条の会呼びかけ人、戦争を許さない市民の会共同代表)
池辺晋一郎(作曲家)
伊藤成彦(中央大学名誉教授)
榮野川安邦(普天間基地爆音訴訟団幹事、元沖縄県高教組委員長)
信太正道(戦争屋にだまされない厭戦庶民の会)
橋本 勝(イラストレーター)
樋口健二(フォトジャーナリスト)
古川路明(名古屋大学名誉教授、戦争を許さない市民の会共同代表)
森井 眞(元明治学院大学学長、戦争を許さない市民の会共同代表)

主催:11・9集会実行委員会
[連絡先]戦争を許さない市民の会
〒113-0033 東京都文京区本郷2-16-9-301
TEL 03-3868-6630   FAX 03-3868-6631
Eメール action@leo.interq.or.jp 

〔当日会場で、資料代として500円いただきますのでご了承下さい。〕

おしらせ 「橋本勝の大型マンガ紙芝居」

10月23日付「11・9怒りの大集会」でおしらせした東京・葛飾での橋本勝「大型マンガ紙芝居」とマンガの原画展ですが、埼玉・浦和でも当日18:30より開催します。

埼玉の9条連講演会 「これからどうする」
日時 2013年11月9日(土)18時15分より
会場 「浦和パルコ」9階
   浦和コミュニティーセンター 第15集会室
   tel 048-887-6565
   JR浦和駅東口正面(徒歩1分)
出演 田原 牧さん (東京新聞特別報道部デスク)
資料代 300円

大型マンガ紙芝居

『橋の上の「殺意」』 畠山鈴香との手紙(2)

11月4日付『橋の上の「殺意」』 畠山鈴香との手紙(1)のつづきになります。

 いまの刑務所に移監されたころのお手紙に、 
 「今の仕事にはいそくされて2ヵ月、ようやく達成感や充実感を持って仕事ができるようになりました。ただご存じの通り弟はいまだ仕事を見つけられず職業訓練校に通っていますし、生活保護で家族はぎりぎりの生活をしているのに、私は仕事の心配も毎日のご飯の心配もしなくていい、もうマスコミの前にでなくていい、そう思うと申し訳なくて、こんな今の私の状態を米山さんが知ったらどう思うかと考えるとやはり申し訳なくて。お盆には人出があるので家族は墓参りもできず、代わりに弟が朝4時から雨の中、自転車で川や寺に花や線香をたむけてくれたそうです」
 と書かれていましたね。

フェルメール「窓辺で手紙を読む女」  すでに未決期間もいれて獄中6年、昔なら無期懲役であっても、30年もすれば恩赦などで出獄できたのでしょうが、いまは厳罰主義が横行していて、長くなりそうですね。
 でも、時代も変わって、この日本も、もう一度、「罪を憎んで人を憎まず」の寛容さを取り戻してほしい、と願っています。それでも、あなたが出所できたときの、はるか手前でわたしは他界しています。 
 「先月娘彩香の、そして今月は米山豪憲君の七回忌です。もう7年なのか、まだ7年なのか、いろいろな事を考えますが、考えをまとめたくなる時は仕事中や就寝後なのでメモをとれません。でも少しずつでも前へ進めたらとは思っています」 

 実はこの間、そちらの近くにある運動公園で、反原発の集会が開かれたので参加したのです。ところが、迂闊(うかつ)なことに、あらかじめ地図でふたつの場所を確認しなかったので、すぐそばまでいっていたことには気がつきませんでした。
 でも、おそらく、面会できることはないでしょう。北羽新報のIさんがお母さんと一緒に面会にいったけど、家族でないから会えない、といわれたようですからね。

 あなたの成績に影響すると困るので、刑務所の批判はするつもりなどまったくありませんが、もっと「交通権」の拡大は必要ですね。あなたは、月に5通しか手紙をだせないようですが、「制限区分」が二種になると、月に一度、30分ほど、病気で面会できない身内に電話をかけられるようになった、と書いていましたが、昔なら信じられないような話ですね。

 そういえば、お祖母さんも弱ってきたようですし、お母さんも経済的になかなか面会にいけないようですね。将来、あなたが出所して秋田へ帰ったとき、知り合いのだれもいない、浦島太郎のような状況を思えば、そぞろ不憫(ふびん)でなりません。 
 それでもあなたは、希望をもちつづけていて、いまヘルパー2級(2013年3月末で廃止)の資格があるので、それにアロマテラピーの資格をとって、「外に出た時にアロマテラピーを併用した介護ができたらいいな、と思う」と書いていますね。 

『橋の上の「殺意」』講談社文庫、2013年8月

絵=フェルメール「窓辺で手紙を読む女」1659年、public domain mark1

本音のコラム 13/11/26 「フリーのため息」

 わたしが駄々をこねていると、思いあまった母親は「憲兵が来るよ」といって脅かした。戦争中のことである。
 いまなら「お巡りさんが来るよ」というのだろうが、民主警察の現在、これで泣きやむ子どもはいない。 

 なぜ、母親が憲兵隊を引き合いにだしたかはわからない。庶民にとって「泣く子も黙る」恐怖の存在だったからであろう。
 まだ、天下の悪法「特定秘密保護法案」に無関心なひとたちがいるのは、戦後68年、戦時中のことなど知らない世代がふえたからだ。 

 しかし、副総理の麻生さんが、祖父の吉田茂元首相が米国との和平工作に加担した疑いで、憲兵隊に逮捕、投獄された事実を知らないはずはない。
 安倍首相の祖父岸信介氏は、戦争中、満州国の最高幹部のひとりであり、東条内閣の閣僚だったから、憲兵隊に守られるほうだった。 
 だから、孫の安倍さんは「秘密漏えい」を理由に取り締まられる恐怖など想像することもない。あの振り払うような物言いを耳にすると、自分に都合のいい意見だけを聞き、意見の違う人たちから学ぶなどとは縁がなかった、と考えたりする。 

 「秘密」が幅をきかせ、報道に厳罰が加えられる時代になれば、わたしのようなフリーライターはお手上げだ。「正当な取材」の官製情報を書いているのでは、フリーライターの存在理由はない。
(東京新聞、11月26日)

特定秘密保護法案~数の横暴 もう許されぬ 11/29

 安倍晋三政権は今、国会での「数の力」で特定秘密保護法案を成立させようとしています。
 その数の力が今回の判決で事実上否定されました(28日、広島高裁で初めての参院選無効判決)。もう、横暴は許されません。 

 私は潜入取材や内部告発をもとにルポを書いてきました。期間工として潜り込んだ自動車工場の過酷な労働実態や、製鉄所の下請け差別に苦しむ労働者らがテーマでした。 
 1979年出版の「日本の兵器工場」では、兵器産業の現場を追いました。
 ある企業の秘密保全に関する内部文書を工場関係者から入手し、全文を収録。「兵器を扱う」との理由で、工場側が労働者のプライバシーにあたる交友関係や酒量などを調べていた実態も明らかにしました。 

 特定秘密保護法ができたとします。軍需工場や原発施設への潜入ルポに対し、国が「秘密を不正に入手しようとした」として捜査対象にする可能性が出てきます。法案はルポの手法を否定し、真実を覆い隠すものにほかなりません。「真実を暴けば摘発される」というムードが広がり、戦中のような「大本営発表」だけが流されるでしょう。
 市民の「知る権利」が制限されれば、取材者だけでなく社会全体が絶大な不利益を被ります。選挙制度改革もできない国会に、そんな危うい法案を成立させてはなりません。 (聞き手・佐藤達弥)
朝日新聞・大阪本社版、11月29日

写真=参議院議員会館にて,11月26日(編集部撮影)
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